
リンゴやサクランボなどの一部の品種では”YDなになに”という名の苗木を販売しています。
正しくは矮性台木(わいせいだいぎ)に接木された苗木のことです。
略して「わい台」とか、「YD」とか呼びます。
リンゴやサクランボは放任すると樹高が大きく育つ高木樹です。
でも矮性台木に接木することで、樹高が2m前後で収まりやすく、果実がなるのも早くなります。
なので、低い位置に果実がなれば、収穫も楽ですし、お庭で育てても管理が楽になります。
通常、リンゴの場合はマルバ台(マルバカイドウの台木)に王林や富士、津軽などそれぞれの品種の穂木を接木して苗木を生産します。
YDの場合、マルバ台にM9台木を接木して、その上にそれぞれの穂木を接木します。
2回接木する訳です。
こんな感じです。
土の中で隠れていますが、マルバ台に接いであって、その上30cmくらいのところまでがM9の台木です。
その上にリンゴのそれぞれの品種の穂木が接木しています。
接木された部分は癒合して膨れたようになっています。
植物にもよりますが、接木部分は癒合して膨れます。バラ科の植物は癒合ぶくれしやすい気がします。(ちなみに、癌腫病などの病気ではありません。)
マルバ台に接木することで、樹勢が強い丈夫な苗になります。
樹勢が強い根っこを持ちますので、株元の土中から芽吹いてマルバカイドウが育とうとします。
こんな感じで台木が育とうとします。
台木から芽吹いた枝が育っていくと、接木した穂木に養水分が行き渡らなくなり、
生育が遅れたり、最悪、穂木が枯れてしまうことがあります。
なので、台木からの芽は早めに掻き取りましょう。
台木から芽吹くのは接木が失敗した苗木が不良だからだ!とお怒りになるお客様もみえますが、ごめんなさい。
接木に失敗していたら、もっと早い段階で枯れます。1〜2ヶ月で穂木が枯れてしまうので、苗木として入荷する前に畑で生産中に枯れます。
強く根を伸ばし丈夫に育つために、根の性質が強い樹種の台木を用いるので、全ての接木苗は遅かれ早かれ台木から芽吹くことはよくあることです。
なので、3年生や4年生など大きくなった木でも台木から芽吹いた枝は早めに取り除いてください。
話を戻しますと、矮性台木に接木することで地上部の樹勢をややおとなしくします。
樹高があまり大きくならないようになります。
背の届くところに実を成らせることもできます。
コンパクトに育つのでお庭でもサクランボやリンゴが楽しめます。
園芸って素晴らしいです。