肥料の基礎知識と与え方

肥料の基礎知識と与え方

 

肥料で枯れることがある

 

肥料の与えすぎや与え方によって枯れたりすることはありますが、肥料が不足して枯れることはありません。与えすぎや与え方に注意です。

 

肥料の量が多すぎると生育不良になったり、枯れたりします。

・液肥などでも肥料の濃度が濃すぎると最悪枯れます。

肥料が根に近すぎると生育不良になったり、枯れたりします。

弱った植物に肥料を与えると枯れることがあります。

未完熟の堆肥や肥料は土中で微生物が発酵・分解する際にガスや熱が出ます。その熱で根が痛んで弱ったり、枯れます。

 

肥料を与えたことで、土壌水分の濃度が根内液体の濃度よりも濃くなると、浸透圧(濃度の低い方から高い方へと水を流して2つの液体の濃度を同じにしようとする作用。)によって根内の液体が根の外に出て行くため、根の水分を奪われて弱って枯れます。通常時、植物は体の中の液体の濃度を高めることによって、土壌の中の水との浸透圧差を利用して水を根内に吸収しています。

 

養水分は根の先端の細根から吸収します。細根のいない株元すぐ近くに与えても吸収しません。鉢植えなら鉢の縁の方に細根がいるので縁の方に与えます。地植えなら枝の先端の真下あたりに細根がいるので、そのあたりに施します。

肥料を与える回数が多すぎても土中の養分蓄積によって濃度障害が起きることがあります。

病気などで弱った人に焼肉やニンニクなどのスタミナ食はあまり勧めませんよね?消化の良い食事をお勧めします。植物も同様です。根腐れや水切れ、病害虫で弱った植物に肥料を与えても逆効果になることがあります。弱った植物は自分で回復しやすいように新しい用土で植え替えたり、体内水分の蒸散を減らすために日陰で水管理だけで養生してあげましょう。

 

 

肥料を与える時期の簡単な覚え方。

 

3、6、9月。さぶろっキュー。

植物の生育期(4〜10月)に肥料効果が欲しいです。逆に休眠期は肥効はいらないのです。多くの植物は冬は成長しない休眠期になります。クリスマスローズなど、夏に休眠する植物もいます。寝ているのに栄養豊かなご馳走を用意しても食べません。

生育期の前の3月。花が終わった6月。秋の生長前の9月に与えると良いです。

植物によっては、多少の時期の前後があったり、肥料は必要ない場合もありますが、概ね3月6月9月が肥料の与えどき。

 

 

肥料不足や肥料過多に見られる植物の症状

 

肥料の主な成分は窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の三大要素です。土中で不足しやすく、施肥効果と経済効果が大きい三要素です。

肥料が不足したり、過剰になると葉や花の色や大きさや状態に変化が見られます。

 

窒素(N)は葉を育てる要素です。

欠乏すると葉色が黄変し、生長が鈍化し、植物が小型化します。
過剰になると葉色が濃くなり、茎葉が増加して茂りすぎたりします。樹勢が強くなり、開花や結果が遅れることがあります。そして、窒素過多だと葉が軟弱化してゴワゴワになったり、病害虫や寒害などに対する抵抗力が減少します。藤やアカシアなどのマメ科の植物や山桃など、植物によっては根に共生する根粒菌が窒素分を供給して自給自足します。おかげで痩せ地でも育ちます。それらの植物は窒素肥料は控えるか与えないようにしましょう。また、ぶどうやキウイなど生育旺盛な植物は早めに樹勢を落ち着かせたいので、窒素分を控えめに配合した「ぶどうがおいしくなる肥料」を利用するなど、植物に合わせた窒素量の調整をすると良いです。

 

リン酸(P)は花・実・根を育てる要素です。

欠乏すると葉色が暗緑色や赤褐色や青銅色になり、葉が小さくなります。茎が細く根の発達が不良になったり、着花が減り開花結実が遅れます。赤玉土など火山灰土はリン酸を不活性化します。
過剰症はあまり出ませんが、生育不良になって亜鉛・鉄・マグネシウムの吸収が阻害されます。

 

 

カリ(K)は茎や根を丈夫にする要素です。

欠乏すると葉の中心部が暗緑色、葉の先端や縁が黄色くなります。
過剰症はあまり出ないですが、カルシウムやマグネシウムの吸収が阻害されます。

 

 

葉色で肥料不足か肥料過多かどうかわかります。

 

葉色が黄色くなるのは窒素不足や光量過多が原因です。
葉色が暗緑色や赤褐色になるのはリン酸不足や光量不足、窒素過剰かカリ不足が原因です。

 

肥料の種類

 

肥料は大きく分けて、有機質肥料と化学肥料があります。
どちらもメリットデメリットがあり、欠点を補って、時期や状況によって上手に使い分けたり併用すると良いと思います。

有機質肥料とは?有機質肥料のメリットとデメリット

有機肥料の材料
有機質肥料・有機肥料とは植物質(油かすや草木灰など)や動物質(魚粕・魚かす・カニがらや骨粉、鶏糞など)の有機質を原料とした肥料です。有機栽培では有機質肥料だけで育てます。土中微生物が分解した後で根から吸収されます。効き始めが遅い遅効性肥料であり、ゆっくり効き続ける緩効性肥料です。土質の物理的改善や化学的改善にも効果があります。濃度障害も起きにくいです。
デメリットはすぐに効かないこと。臭い。ウジムシなどの虫が湧くことがある。猫や猪などの動物が荒らすことがあること。なので、なるべく土中に埋設しましょう。せめて肥料の上に厚めに土を被せておきましょう。

化学肥料とは?化学肥料のメリットとデメリット

 

化学肥料(無機質肥料)とは化学的に合成・生産された肥料です。化成肥料も化学肥料に含まれます。メリットは速効性で肥料効果が高いこと。軽く、取扱いしやすいこと。清潔。臭いも少なく虫や動物は来ない。デメリットは濃度障害が起きることがあるのでやり過ぎ注意です。土中微生物の餌にならないので、土質の物理的改善もなく、次第に土が痩せていきます。

 

IB肥料などの化成肥料は肥料の粒が濡れることで少しずつ肥料分が溶け出して肥効が現れます。なので、水やりや雨の頻度が多ければ、肥料効果は早く終わり、水やりや雨の頻度が少なければ肥料は長持ちします。つまり水やりの頻度の多い夏は肥効が短く、秋は肥料は長持ちします。

 

肥料の与え方について

 

養水分は根の先端の細根から吸収しますので、細根のいない株元すぐ近くに与えても吸収しません。鉢植えなら鉢の縁の方に細根がいるので縁の方に与えます。地植えなら枝の先端の真下あたりに細根がいるので、そのあたりに施します。

とはいえ、濃度障害しやすい化学肥料などは根に直接触れるような近すぎもダメです。

有機質肥料は土中微生物が分解した後で根から吸収されますので、穴を掘って土中に埋設するか土を被せておきます。

【元肥】植え付け時

・植え付け時に与える肥料です。年間施肥量の50~100%を元肥として与えます。
・培養土を使用する場合は、肥料成分が配合されているため肥料は必要ありません。
・植え付けてから3か月くらいは追肥する必要はありません。

【寒肥】12~1月

・元肥のうち12~1月に与えるものを寒肥といい、みかんの肥料やぶどうの肥料などの専用肥料や油粕や骨粉などの有機肥料を施します。

【春肥】2~3月

・元肥のうち2~3月に与えるものを春肥といい、緩効性の化成肥料「花ひろばIB肥料元気玉」がおすすめです。

【追肥(夏肥)】6月中旬~下旬

・春肥の1/3程度の有機肥料を与えます。与えすぎると葉ばかり茂るため、新梢の伸びが悪い時のみに与えましょう。

【お礼肥(秋肥)】収穫後の9月中旬~10月下旬

・春肥の1/3程度の有機肥料を与えます。

【鉢植えの施肥】3~11月

・1か月に一回有機肥料を与えてください。

 

肥料が合わなかったらすること。

 

肥料を与えてしばらくしたら、生育がおかしくなった、生長が止まってしまった。

なぜか肥料が合わないこともあります。時期や温度、土中の残留養分などが影響しているのかもしれません。

とりあえず早めに肥料を取り除きます。

できれば新しい培養土などに植え直して、日陰で水管理だけで養生します。

なるべくそっとしてあげてください。

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