園芸店の植物管理のうんちく。
苗木部部長の高井尽です。

寒波が来たりしますが、少しずつ寒さが緩んできます。
今日はまた午後から寒くなってます。
周りの植物の変化はいかがでしょうか。
植物たちは冬に休眠をしています。
2月は春からのガーデニングを楽しくするための、大切な準備の時期です。

【植え付けについて】
休眠している苗たちは根をいじっても枯れるリスクが少ないです。
なので、この時期のポット苗の植え付けでは、優しく根をほぐして根を広げて植えてあげてください。
根巻き苗は根を広げる必要はありません。麻布もはずさずに植えます。
植え付け後は土と根っこがよくなじむように徹底的に水をたっぷりと土に与えましょう。
植物が水を欲しがっているから水を与えるのではありません。
植え付け時に土に水を与えることで、土がドロドロのお汁粉状になり、土と根っこが馴染めるようにします。水を大量に土に入れて土中の空洞を減らします。水極めといいます。
もくれんや柿、コシアブラなどの直根性の木は根腐れしやすくなるので水極めは控えます。棒などで土をつついて土中の空洞をなくしてください。
以前に植えた木や株も土が沈んでいる場合もあります。
周囲の土を寄せてきて盛り土するなど、株元に土を足してあげましょう。
ワラやバークチップなどのマルチング材で株周りを覆っていただき、しっかりと防寒対策をしてあげてください。 マルチングは雑草避け、乾燥防止になります。
柑橘苗など寒さが苦手な植物たちは、北風や寒風が当たらないようなところで管理してあげてください。

【肥料について】
成長が止まっておりますので、肥料は与えてもすぐの効果はあまりありません。
寝ている子供の鼻先に、焼肉やケーキを与えても無視されるのと同じです。
冬は春からの成長のための仕込みの時期です。
土壌の栄養補給には、土を肥沃にする堆肥や腐葉土などの有機質を与えると良いです。
春が近づく2月ごろに有機肥料を与えると、活動が始まる春ごろに養分となって根が吸いあげて春以降の成長につながります。
子供が目覚める前に、お母さんが味噌汁やお雑煮などの朝食の準備をしているイメージです。 腹持ちしやすい有機肥料を与えると良いです。
有機肥料は表土に撒くだけだとニオイやカビが発生しやすいので、 土のなかに埋めるか、撒いた肥料の上に土をかぶせるようにしてください。

【剪定や誘引について】
植物の休眠の時期は剪定の季節です。 樹液の流動が穏やかなので、剪定後の枯れ込みが少ないからです。
ただし、剪定をすると休眠から目覚めて芽吹き始めることもあります。 なので、寒さがまだまだ続きそうな寒冷地では、春の直前の剪定をオススメします。
木立ちバラの剪定は2月過ぎが良いです。
常緑性の植物の剪定も、春の直前まで控えます。 葉っぱを枝に持つ植物はいわば服を着込んでいるのと同じです。 枝葉っぱを減らし、風通しが良くなれば体感温度が低下します。 常緑性の植物を冬に剪定をするということは、コートを脱がせるのと同じようなもの。風邪をひくかもしれません。
樹液の流動が活発なブドウやキウイ、 もみじや桜などはなるべく12月の冬の早い時期に、寒い時期に剪定をし終えておきますがまだの方は早めにしておきます。
剪定をすると樹勢が回復して春からの成長に勢いがつきます。
枝を切り戻せば枝が分岐して枝数が増え、葉が多くなり、花や果実が増えてくれます。
深く切り戻す強剪定をすれば樹勢が強くなり、軽く切り戻す弱剪定では樹勢はあまり強くなりません。
植え付けたばかりの苗木は「ぐん」と伸びてほしいので、果樹もバラも強めに切り戻しても大丈夫です。

つる性植物の本格的な誘引は1~2月ごろの間に行ってあげてください。
1月下旬ごろから誘引を行い、誘引時に不要な枝などを切ります。 それ以外でも不要な枝、混みあっている枝や細い弱い枝は基部から切って取り除いてあげます。
とはいえ、今日も寒かったのでつるバラの誘引や剪定は私もまだしていません。
天気が良い少し暖かい日に行おうと思います。
強い剪定をする3日前からは水やりは控えておくと、樹液の流動が落ち着いているので切り口から樹液が漏れ出ることも少なくなります。
樹液が漏れ出て結晶化するとこうなります。

病気ではないので消毒は必要ありません。
根が水を吸い上げている証拠です。根が元気なので安心です。
放っておけばそのうち白いのも消えてなくなります。
3~5月に開花する桜や梅、あんず、桃、ハナミズキなど、春に開花する花木のほとんどは 昨年の夏に花芽を作ってきています。
不用意に剪定をすると花芽を落としてしまいます。 この時期に花芽がなければ残念ですが春の開花は期待できません。

よーく花芽か葉芽か観察してみましょう。 慣れないうちは花芽かどうか見分けがつかないかもしれません。何度も見ているとわかるようになります。 花芽を落とさないように不要な枝や混み合う枝を整理し、樹形を乱しそうな枝の剪定を行いましょう。
花芽の見分けができなければ、剪定は控えて、花芽がわかるようになる時期に剪定をしても良いです。 開花時期に近づけば、花芽が膨らみ見分けやすくなります。

【水やりについて】
根っこは水を求めて伸びていきます。
常に湿りっぱなしよりも、
乾いたり湿ったりの繰り返しが根を育てます。
慣れないうちは面倒でも土に指を突っ込んで、
土中が湿っているか確認し、 土中まで乾いてきたら水をたっぷりと与えてください。
あるいは、鉢植えの場合では鉢を持ち上げてみてください。 持ち上げてみた感じ、軽く感じたら乾いてきたサインです。
冬は植物は休眠をしておりますので、特に冬の時期は土の渇きがゆっくりです。 与え過ぎは根腐れにつながります。 水やりはなれないうちは必ず土の乾き具合を確認してからお願いします。
土が乾いていなければ水は与えません。
また、雨が当たる場所に地植えしてある場合では、よほど乾燥する場所でなければ水は雨水だけでも十分です。
外に育っている街路樹や公園の植物のほとんどは水やりをされなくても育っています。
基本は「土が乾いたら、たっぷりと」。
木の大きさや土の量、日当たりなど、環境によって土が乾く早さは違いますので、 水やりする前によく観察してあげること。
どうか、水遣りの前に、土の観察をお願いします。 観察をすることが最適な水やりの頻度がわかるコツです。
水やりは朝に与えると良いと思います。 冬の間は水を与える時間帯によっては土が凍ってしまうことがあるので、気温が上がる午前中に与えていただくと、根鉢が凍る心配が軽減されます。

冬はカビも少ないし、蚊や昆虫も減ってしまいます。 植物が休眠する寒い季節は病害虫も休眠期になります。 病気や害虫もほとんど被害がでなくなります。
病気(?)、害虫(?) 日焼けあとなどが低温で細胞が変色して目立つようになった自然現象でできたシミか、 葉の傷などが低温で目立つようになったものか、あるいは以前の病変部位のあとかもしれません。
人間でいうところの肌のシミやほくろのようなもの。
風通しが悪く、温度が高い場所などでは病気や害虫が出ることもあります。
暖房の効いた屋内。。。まさにそんな環境です。 窓を閉め切っていても害虫は出ます。
何か心配な場合は早期発見で心配な葉を取り除いてやってください。 うまく生育してくれない・・・など、 ご心配なことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
早く元気になってくれるよう、対処方法などをアドバイスさせていただきます。
ご相談は早ければ早いほど確実です。よろしくお願いします。

なお、お問い合わせの際には、デジタルカメラやスマートフォンで撮影したお写真を、 メールに添付していただくと、より確実な状態が判別できます。
心配な部分の接写、苗全体のようす、 土の状態がよくわかるお写真をお願いします。
併せて、地植えなのか鉢植えなのか、水やりの頻度や1回の水やりの量、 日当たり、与えた肥料の時期と量、植え付け方法、 植え付けに使用した用土など、おわかりになる範囲で、 できるだけ詳しく生育している環境を教えていただけましたら、 より確実なアドバイスを差し上げることができます。
ご協力、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
新型コロナが流行しておりますが、どうか、くれぐれもお体ご自愛くださいませ。
植物とともにこの寒い冬を乗り越え、新緑の春を迎えましょう。

園芸って素晴らしいです。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました!
苗木部 部長 高井尽(たかいつくす)

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