




● カカオ チュムポン ハイブリッドの品種の特徴
「カカオ チュムポン・ハイブリッド」はタイで長年の比較試験を経て選抜された、高収量・高脂肪率の実用品種。タイ政府機関によって正式に認定され、同国のカカオ栽培を代表する品種の一つです。
タイ南部のチュムポン園芸研究センター(Chumphon Horticultural Research Centre)で研究・選抜されたカカオです。単にチュムポン地方で採れたカカオを指す名前ではなく、タイ農業局によって1994年6月17日に正式に認定された品種です。
その来歴を辿ると、実はタイ国外へとつながります。
本品種は南米の伝統的な栽培系統同士の交配によるハイブリッドです。1938年にF. J. Pound博士がエクアドルでWitches' broom(天狗巣病)の被害を受けていないカカオから収集した遺伝資源に由来します。その後トリニダードへ移され、1940年代には交配・試験のためガーナにも送られました。
この系統が1979年、マレーシア・サバ州からタイへ導入されました。
チュムポン園芸研究センターでは、1981~1993年にかけてマレーシアから導入された14のカカオ交配系統と、従来農家が栽培していたカカオを比較。その結果、後にチュムポン・ハイブリッドとなる系統が収量の高さと安定性、豆の品質で優秀だったため、栽培品種として選抜されました。つまり、十年以上の比較試験を経て選ばれた実用性重視のカカオです。
果実は比較的ずんぐりとした形で、果梗側に明瞭な「首」がなく、先端も尖りません。果皮表面は比較的滑らかで、縦方向の溝は浅めです。内部のカカオ豆は紫色の子葉を持ちます。
そしてチュムポン・ハイブリッド1最大の特徴が、その生産性です。
タイ農業局の資料では、植え付けから2年目には結実・収穫を開始し、13年間の試験における乾燥カカオ豆の平均収量は127.2kg/ライとされています。従来農家が栽培していたカカオより約31.4%高い収量を記録し、しかも年による収量の変動が比較的小さいことが長所として挙げられています。
さらに、豆の脂肪分が約57.27%と高いことも重要な特徴です。
カカオは単純に「実がたくさんなる」だけではなく、チョコレート原料として使用する豆の品質も重要です。本品種は豆のサイズが国際的な基準を満たし、高い脂肪含有率を持つことから、収量と加工原料としての性質を両立した品種として評価されています。種皮の割合も約12.42%とされています。
病害への性質についても選抜品種らしい特徴があります。タイ農業局によれば、枝枯れ病への耐性が比較的高く、Black Pod(黒果病)についても中程度の耐性を持つとされています。
また、基本的に他家受粉型のカカオです。果実を安定して収穫することを目的とする場合には、一株だけを隔離して育てるより、複数個体を栽培して受粉の機会を確保することが重要になります。
タイでは特に南部・西部での栽培が推奨され、ココナッツ園への間作にも適する品種として普及が進められてきました。カカオが半日陰にも適応する性質を利用し、既存の果樹園の空間を活用して栽培できる点も熱帯農業では大きなメリットです。
日本で栽培する場合には、耐暑性については十分期待できますが、耐寒性には注意が必要です。タイ南部で選抜された熱帯性のカカオですので、冬季には十分な温度を確保し、霜や凍結には絶対に当てない管理が基本となります。特に幼木では低温だけでなく乾燥にも注意し、暖かく湿度のある環境を維持することをおすすめします。
チュムポン・ハイブリッド1の面白さは、「珍しいカカオ」というだけではありません。
エクアドルで収集された南米系統に始まり、トリニダード、ガーナ、マレーシアを経てタイへ渡り、そこで十年以上にわたる比較試験を受けて選抜されたという、非常に長い育種・選抜の歴史を持っています。
植え付け後2年程度から収穫を狙える早さ、高く安定した収量、約57%という高い脂肪含有率、そして病害への一定の耐性。
華やかなフレーバーだけを追求したカカオとは違い、「熱帯で安定してカカオ豆を生産する」という実用性を追求して選ばれた、タイのカカオ栽培を知るうえでも非常に重要な品種です。
「カカオ」は言わずと知れたチョコレートやココアの原材料となる果実です。太い枝の幹から直接花がつき、とっても不思議な雰囲気です。咲いた花に実がつくのは全体の1%程度だとか・・・。自然界は厳しいですね。実がついている様子はさらに不思議。木から小型のラグビーボールがぶら下がっているような見た目です。品種によって黄色やオレンジ、赤など果皮の色が異なります。フレッシュな果肉は生食することが可能で、とても甘いライチのような味がするそうです。
「カカオベルト」と呼ばれる、赤道をはさんで南北20度以内の高温多湿の地域でもっぱら栽培されています。そのため、寒さにはめっぽう弱く、鉢植え加温栽培必須の玄人向けの果樹です。のわりには、直射日光に弱いため管理は基本半日陰で。現地では日よけとしてバナナやカカオの母と呼ばれる「トリニダードのエリスリナス」を植えているんだとか。
| 学名 |
| Theobroma cacao アオイ科 カカオ属 |
| 作出年・作出者 |
| 1994年 (タイ・チュムポン園芸研究センター) |
| 開花時期 |
| 5月~ |
| 花色・大きさ・花形 |
| 白 |
| 果実の大きさ |
| 豊産性あり |
| 結果年数 |
| 4~5年 |
| 自家結実性 |
| 1本でなる(自家結実性が強い)(虫媒花。蟻や蚊が受粉させます。花は夕方開花して翌朝満開になります。人工授粉はピンセットを用いて、息を止めながら地道に花粉を移動させる技術が必要です。 ) |
| 最終樹高 |
| 鉢植え:1m ~ 2m (常緑中高木) |
| 最終葉張り |
| 0.5m ~ 0.8m 直立性 |
| 栽培用途 |
| 鉢植え、温室など |
| 植栽適地 |
| 日本全国(原則、鉢植え栽培) |
| 育てやすさ |
|
★☆☆☆☆ 難しい 日照条件:日なた~半日陰、 豊産性あり、耐寒性弱い(15度)、耐暑性普通 |
| 耐病害虫性 |
| 耐病性:普通 害虫:普通につく |
カカオ|チュムポン・ハイブリッド 1年生実生苗の育て方
植え方・用土
明るい半日陰が理想です。湿り気のある用土を好むため、赤玉6:堆肥4ぐらいで調整します。寒さにはめっぽう弱いため、鉢植え栽培で冷涼な季節は室内で暖かくして管理します。温室等で温度・湿度のコントロールが可能な場合は地植えでも大丈夫です。
強風で倒れやすいため、風よけや支柱を立てるなどして対策をします。
水やり
高温多湿を好むため水切れに注意します。土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
肥料のやり方
木の育ちを良くするため、初夏と秋に野菜用の肥料を与えます。
剪定方法
木がある程度大きくなるまでは込み合っている枝を落とす程度で大丈夫です。収穫年数に近づいたら下を向いている枝、平行枝の弱いほうの枝、花がつかない枝(葉がまんべんなくついている枝)は、切り口が下向きになるように根元のほうで取り除きます。
病害虫の予防法
幼苗のうちはヨトウムシに注意します。




