園芸店の植物管理のうんちく。
苗木部部長の高井尽です。
年末年始は何かとせわしく、忙しいのではないでしょうか。
大掃除のついでに、
洗車に枯れ枝の剪定。庭の掃除。
ベランダで朽ち果てている鉢植えの片付けなどなど。
掃除ついでに行いたい、
お庭の木々、果樹の剪定について、お話します。
バラの剪定はまた次回以降にします。
ようやく本格的な冬の気温になりました。
気温が10度以下に下がると、
植物は成長をやめて休眠に入ります。
樹液の流動が旺盛なぶどうやキウイ、いちじく、カエデなどでも、
12月が一番樹液の流動が落ち着く時期。
1月になるともう樹液がまわり始めます。
なので、12月は剪定の時期です。
ただし、暖冬なので、
バラなどの剪定はできれば1月2月にするほうがいいです。
落葉して葉が減ったりなくなると、
木の骨格が見やすくなります。
ブルーベリーなどの一部の落葉樹でも
まだ葉をつけている木もありますが、
もう休眠しているので剪定をしてみましょう。
まず、大きく育ちすぎた木をなんとかしましょうか。
芯抜きする間引き剪定をします。
樹高を下げる間引き剪定の芯抜き。
芯抜きでは樹形を大きくしてしまっている枝の生え際で切ります。
切った分だけ樹高が下がります。
間引き剪定とは、枝の分岐している生え際で切る剪定です。
風通しや日当たりの改善のために生育期でもよく行います。
ブドウやキウイなどでは結構大胆に間引きます。
春以降に旺盛につるが伸びたらボーボーになるので、
今のうちに細い無駄な枝や枯れ枝などを取り除いておきましょう。
ただし、桃やさくらなどでは3年以上前の幹からは新芽が出ずに
ハゲあがることがあるので注意しましょう。
古い部分まで切り下げるのは慎重に。
コニファーなどの針葉樹は緑の葉がない枝は芽吹かなくなります。
なので、剪定をする場合は、必ず枝に葉を少なからず残すように切りましょう。
また、コニファーは金属アレルギーです。
ハサミで切ると切った部分が茶色く枯れます。
なので、芽吹く前の3月に切りましょう。
芽吹いてくれれば茶色く枯れた葉や、
切ったあとを隠してくれます。
みかんやシマトネリコなどの常緑樹は寒がりです。
強めの剪定をすることで、
今まで外側の葉に守られていた枝や幹が
まともに寒風にさらされるようになります。
例えるなら真冬にコートを脱がせるハラスメント。
風邪ひきます。
切りたくても冬が終わる直前まで我慢しよう。
常緑樹の剪定については、
その頃にまたメルマガで書きます。
知りたくても我慢しよう。
次に切り戻し剪定です。
切り戻しとは、枝や幹の途中で切る剪定。
剪定位置は次に伸びてほしい方向に向いている芽の上、数cm上の位置で切ります。
(写真はカエデの剪定ですが、本来はカエデの枝は切らずに折った方が良いです。カエデは樹液の流動が良いです。なので、ハサミで切るのではなく、切り口が潰れるように手で折るほうが無駄に樹液が流出しなくなるので、折った方が良いです。折れないような太枝はハサミを使います。)
切り戻しをすると切ったすぐ下の芽が動き、
次の春からの成長に勢いが出ます。
切り戻しをすると樹勢が強くなります。
来年の新梢を出したい芽の植えで切ると良いです。
なので、コンパクトにする場合でも切り戻しになります。
弱った木や成長に勢いのない場合などでは切り戻しをして樹勢を回復させます。
剪定位置は次に伸びてほしい方向に向いている芽の上、数cm上の位置で切ります。
いちじくなどでは切ってから切り口が枯れ込んでもいいように、節と節の間で切るのが良いです。
下の写真のように、植え付けた時に主幹を短く切り戻したりします。
こうすることで、来春からの成長に勢いをつけます。
深く切り戻せば、樹勢はより強くなり、
浅く切り戻すと、樹勢は少し強くなります。
樹勢が強すぎると、花が咲かなくなったり、果実がならなくなることもあります。
なので、木を大きくしたくないからと、切り戻し剪定を繰り返すと、
樹勢が強いので花や果実がなりにくくなったりすることがあります。
木を小さくする場合や樹形を整えるなどでは、
切り戻しではなく間引き剪定主体にします。
先の芯抜きした木をさらにコンパクトにしてみます。
毎年剪定をしているけど、
すぐに大きくなって困る場合は。。。
環状剥皮などで根からの用水分が地上に上がる量を減らす工夫をします。
環状剥皮は素人ではなかなか難しいので、説明は省きます。
気になる方はグーグルなどでお調べください。
グーグル大先生は何でも答えてくれます。
ハズレるときもありますが。。。
手軽に行う方法としては、幹をナタなどで傷をつけて、
形成層を部分的に破壊する方法です。
幹周りの1/3は残すようにして、ナタなどで樹皮に傷をつけて、
形成層を破壊します。
そうすることで、樹液が枝先に運ばれるのを減らして
樹勢を落ち着かせます。
剪定後は丁寧に養生をしてあげましょう。
冬は樹液の流動が落ち着いているので、
剪定後は枯れにくいです。
とはいえ、太い枝や幹を切ったら、
トップジンMペーストなどのキズぐすりを塗っておきましょう。
傷薬がなければ、木工ボンドでもいいです。
木工ボンドがない場合は、
水で練った赤土(赤玉土)を傷跡に練り込んでおきます。
また、剪定はよく切れる道具でお願いします。
事務用のハサミなどはダメです。
苗木が痛がります。かわいそうです。
切り口が汚いと腐ってくるかもしれません。
治りが遅いです。
剪定バサミを使いましょう。
オカツネは太い枝でも切れます。
太い枝を切るコツは、
切りながら切る枝を手前に少しずつ引くと良いです。
もうすぐクリスマス、お正月ですね!
ワクワクします。
年末が近くなるにつれ、
ご質問もご注文も減っていきます。
ご注文が少ないのは寂しい限りですが、
寒いさなかに苗を植える気分にならないのかもしれませんが、
皆さん、他にやることも多いのだろうと思います。
年末年始の準備。
大掃除やクリスマス、忘年会、お正月の準備。
正月明けすぐは、村の寄り合い、自治会の行事。
お寺の行事。などなど。
新型コロナウィルスのせいで、
できないこともや制限もありますが、
例年、お正月が差し迫ってくると、
何かとせわしいものです。
「クリスマスまでに!」
「年内に 届いてほしい」
リクエストがありましたら、がんばります!
年末が近い今の時期は、全国的に宅配便の数が多くなります。
先日の大雪などで遅配が増えることも。
なので、今頃から年明けぐらいまでは、
ご注文が減って、発送件数が減ってもいいかなと思っています。
退屈しのぎの庭の剪定。
おすすめします。
園芸って素晴らしいです。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました!
苗木部 部長 高井尽(たかいつくす)