園芸店の植物管理のうんちく。
苗木部部長の高井尽です。
植物管理のうんちくをお届けします。
前回は梅雨で雨ばかりですね。のような話題でしたが、
今回は梅雨明けなので、夏の水管理と植物管理のうんちくを書きます。
今まで、苗木部通信でも、お買い物後にお送りしているサポートメールでも、何度かご案内をしております、夏の水やりについてお話をします。
気温が高く、日照時間が長く、風通しが良いと、植物は断続的に水分を欲しがっています。
「なぜ、植物は水を欲しがっているか?」が非常に重要なのでお話しますと、
1.光合成をするために水を求めています。
2.また、葉内温度を下げるために水分を蒸散しています。人間に例えると、汗を書いているような感じ。
光合成に必要なものは、日照と温度と二酸化炭素と「水分」です。このうち、日照と温度どちらかを減らせば、光合成ができにくくなるので、水分はあまり欲しがらなくなります。
ということは?曇り空や雨が続けば、日照不足なので、水はあまり欲しがらず、それに関わらず繰り返し水やりを続けたりしようものなら、土や根で滞留した水分は根腐れの原因になったり、葉で滞留した水分が葉の縁や葉先で蒸れたようになって枯れたりしました。まさに梅雨時期に起きやすい生理障害です。
冬も温度が低すぎると光合成をしなくなるので、同様なことが起きます。冬も意外と根腐れしやすくなります。
春~秋、天気がよければ、光合成を盛んにしますので、水分を欲しがります。水分が枯渇すると枝葉はしおれたり、落葉したりします。いわゆる水切れです。
植物は土に根を伸ばし、水分を吸い上げます。
地面に根を張った植物は水を求めて根を伸ばすので、概ね雨だけで成長をしてくれます。株元以外、周囲をアスファルトで覆われた街路樹などでさえ、誰も水やりをしていないのに枯れずに育っていますよね。根が張ってしまえば水やりは雨任せでOKです。
鉢植えでは根が水を求めて伸びていくスペースが限られていますので、鉢のサイズが小さければ頻繁に水やりをする必要があります。 鉢のサイズが大きければ水やりも多少はサボれるかなと言う感じです。というわけで、小さすぎるポットや鉢に植えてある植物では秋まで待たずに早めに大きめの鉢に植え替えたほうが水切れしにくくなります。
光合成は日照があると盛んになりますので、水やりは日照が増えていく前、朝に行っておくのが良いと思います。それでも鉢のサイズや株のボリューム、土の鮮度によっては日中でも土が乾ききってしまうことがあります。日中、気温が高く日照が強い時間帯の水やりは土が高温になっている恐れがあります。そんな場合でも、日中や夕方でも、躊躇なく水を与えてください。水切れさせてしまうよりは良いです。気温が高い時間帯の水やりでは、土を冷やすつもりで、たっぷりたっぷり、土を水で冷やしてあげてください。
それでも水やりを減らしたい場合は、日陰に移動するなど、日照を減らす工夫をすると良いです。あるいは、葉が茂りすぎている場合は葉を減らせば、光合成量が減り、水切れしにくくなります。
次にもう1つの水を欲しがっている理由。葉内温度を下げるために水分を蒸散しています。
夏の強い日差しで、砂浜も道路もプールサイドのコンクリートの床も、何でも熱くなりますが、葉はあまり熱くなっていません。葉から水分蒸散をすることで、葉の温度を下げることで、葉焼けや葉の乾燥や障害を防いでいます。
水分を葉から蒸散するとき、水分が水蒸気に変わるための気化の潜熱で、1gの水が539calの熱を吸収します。(2003年グリーンアドバイザー認定講習テキストに書いてあります。)森に入ると涼しく感じたり、噴水や水しぶきを上げている滝に近づいたりすると、涼しく感じるのは気化の潜熱で熱を吸収しているからだと思います。
植物は地球上の二酸化炭素を吸収して、蒸散で気温を下げています。
脱炭素化と、温度を下げているのですね!
日当たりで光合成をしているわけですが、光合成に適した温度は10~25度くらいです。35度を超える高温下では葉は黄変し始めます。あまり熱い夏は涼しい日陰で育てたほうが、植物は育ちやすいです。
梅雨明けすると、天気や気候が変化しますので、水やりの頻度もかわります。
植物が、どうして水を欲しがっているのか?を覚えていただけば、
日々の水管理だけでなく、置き場所や環境も最適にできると思います。
逆に考えると、置き場所や環境を工夫すれば、水やりをへらすこともできます。
植物は、日照と気温10~25度くらいで光合成を盛んにします。
そのために水を必要としておりまして、日照を減らしてあげると水やりを減らせることができます。
30度を超えてくると、水は欲しがるけど葉が黄変し始めたりします。防ぐには気温を下げてあげる、つまり日陰に移動してあげたりすると良いわけです。
昨年の夏の気候を思い出すと、7月末まではほぼ毎日雨でした。
今年はもう梅雨明けのようなので、去年と今年では10日以上気候が変わっています。
夏の到来なので、育て方が変わりました。
植物の成長を観察しながら、素敵な夏をお過ごしください。
園芸って素晴らしいです。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました!
苗木部 部長 高井尽(たかいつくす)