
● ビワ 麗月の品種の特徴
麗月(れいげつ)は「森尾早生」と「広東」の交配種から、選抜育成されたビワです。適度な酸味の中に、糖度14~16度の甘みが広がる生食に適した品種です。他の品種と比べると白っぽいため白ビワと呼ばれる事もあります。種は多く大きいです。葉の大きさは大きいです。
麗月は自家結実しないので、開花中にジベレリンとフルメット処理をして種無しを作ることができます。そばかす症や裂果の発生が多いのと,幼果が寒害を受けやすいので、施設栽培向きです。ハウス栽培だと果皮の障害も少なく高品質の果実が取れます。がんしゅ病抵抗性はやや強です。
麗月は寒さに弱く露地栽培では寒害を受けやすいようです。施設栽培では関東以南で栽培可能ですが、露地栽培が可能なエリアは極めて温暖な地域に限られています。
農業総合研究センター 暖地園芸研究所 果樹研究室の調査によれば、1本あたり施設栽培で7.9kgくらいの収穫があります。
ビワは11月から1月にかけて白い花をつけ、6月頃に実が熟します。麗月以外は自家結実性がありますので、受粉樹の必要ありません。
木そのものはある程度、寒さに強いのですが、冬に花が咲くため、寒冷地では寒さで花が傷んでしまいます。果実を楽しむ場合は、暖地での栽培をオススメします。寒冷地で育てる場合は、開花が遅めの晩生種がおすすめです。
伸びるに任せておくと背が高くなってしまいますが、北側に植えたり、剪定をしたり、鉢植えにすることによって低く仕立てることができます。
多くは果樹として栽培され、放任すると高さはおよそ10メートルほどになります。葉は濃い緑色で大きく、長い楕円形をしていて、表面にはつやがあり、裏には産毛があります。その大きな葉陰に楽器の琵琶に似た形をした一口大の多くの甘い実がなります。庭木としても楽しめ、 木そのものはある程度寒さに強いのですが、冬に花が咲き寒さで傷むので、果実を楽しむ場合は暖地での栽培をオススメします。寒冷地で育てる場合は開花が遅めの晩生種が良いです。
| 学名 |
| Eriobotrya japonica バラ科 ビワ属 |
| 別名 |
| ビワ長崎7号、白ビワ、(れいげつ) |
| 作出年・作出者 |
| 1976年 (長崎県果樹試験場) |
| 交配親 |
| 森尾早生(母)×広東(父 中国の品種) |
| 開花時期 |
| 11月下旬~12月上旬 |
| 花色・大きさ・花形 |
| 淡い黄白・(5cm位)・一重 |
| 収穫時期 |
| 5月上旬~6月上旬 早生品種 |
| 果実の大きさ |
| 大実 51g 豊産性あり |
| 甘さ |
| 平均糖度:14~16度 |
| 結果年数 |
| 3~5年 |
| 自家結実性 |
| 1本でなりにくい。(自家結実性弱い)(自分の花粉ではほとんど結実しない自家不和合性です。麗月どうしで受粉しての結実率は2.6~8.3%です。他のビワのほとんどの品種と受粉して結実しますが、開花時期が揃いやすいのは長崎早生、涼峰です。2回のジベ処理で種無しもできます。開花7日前から満開時と、その後35~60日の間にジベレリン200ppmとフルメット20ppmを花房に散布すると種無しにできます。開花期間中は他の品種との受粉を素子するために花房の袋がけも必要です。) |
| 推奨受粉樹・結実率順で記載 |
| 長崎早生、涼峰、茂木、涼風、陽玉、なつたより、クイーン長崎(福原早生) |
| 最終樹高 |
| 地植え:3m ~ 4m 鉢植え:1m ~ 2m (常緑高木) |
| 最終葉張り |
| 3m ~ 4m 直立性 |
| 栽培用途 |
| 果樹畑、花壇、鉢植え(7号鉢以上)、庭木、薬草、漢方薬、ビワ茶 |
| 成長の早さ |
| 樹勢が強い |
| 植栽適地 |
| 関東以西~九州 |
| 育てやすさ |
| ★★☆☆☆ やや難しい 日照条件:日なた、土壌酸度:弱酸性 豊産性あり、耐寒性弱い、耐暑性強い、耐乾性強い |
| 耐病害虫性 |
| 耐病性:普通 害虫:普通 |
| 芽吹き時期 |
| 3月上旬~6月頃 |
| 花言葉 |
| 温和、内気、控えめ |
ビワ 麗月の育て方
植え方・用土
乾燥に強いですが、過湿には弱いので、水はけの良い土壌に植えてください。
土質は弱酸性土(ph5.6~6.5)を好みます。土質は選ばず、乾燥にも強いのでやせ地でも育ちます。土中に酸素があると、よく根を張るので、通気性の良い土にしてください。日当たり良好な場所を選びましょう。ピートモスや堆肥を適当に入れて植えるとよいです。
植え付け初期は根が浅く倒れやすいので、支柱で支えてあげるとよいです。
春の植え付け方法
暖かくなり始めた3月頃に植えて頂くのがベストです。鉢植えで植え替える時も3月頃がよいです。
夏の植え付け方法
6月にも植えて頂けます。
秋の植え付け方法
9月~10月にも植えて頂けます。
水やり
鉢植えでは表面の土が乾いたら、底から流れ出るぐらいたっぷりと水を与えてあげてください。地植えの場合は、夏場などの日差しが強く雨が降らない日が続くようであれば、水を与えてあげてください。
肥料のやり方
肥料は2月~3月ごろと収穫後に速効性の化成肥料などを与えます。
また、11~12月ごろに寒肥として牛糞や鶏糞、油粕など、有機質肥料を与えます。
花芽の付き方
ビワは8月頃に枝の先端に花芽を分化し、秋に花房をつけます。これが10月から2月にかけて順次開花していき、春頃から果実が肥大していきます。
すべての花を結実させると、果実が小さくなるか樹勢が弱るので、花房数の多いときは開花前の秋に勢いの弱い枝や花つきの良すぎる枝の花房を取り除いて、半分から3分の1に蕾を減らします。開花後の12月ごろ、1花房に5~6段くらいある果房を大実の田中やクイーン長崎は基部の2段だけにし、茂木や長崎早生は3~4段残して切ります。摘花のやり方、摘蕾の方法はこちらをご覧ください。
寒害の危険がなくなる4月上旬に田中やクイーン長崎は1果房で1~3果、茂木や長崎早生は3~5果に適果し、同時に袋がけをします。そうすると美しく大きな果実に仕上がります。
果実が黄色く色づき、甘い香りを放ち始めたら収穫です
剪定方法
ほとんど必要ありません。良く成長しますが、込み合う枝を秋に間引く程度です。
枝先に果実がつくので、切り戻しは行いません。樹高を小さくする剪定は果実が1~2年つかない覚悟で切り戻しをします。
低い樹高で育てるには植え付け1年目に低めに切り詰めて、低い位置で枝の分岐をさせて仕立てていくとよいです。
4~5年すると大きくなり高さが出るので、主幹を切って低い樹形にします。太い枝を切る際は切り口に傷薬や木工ボンドを塗っておきます。
その他栽培や性質の注意点
枇杷は放任すると大きくなり6~10mになります。
北側に植えたり、剪定をしたり、鉢植えにすることによって低く仕立てることができます。
生育に適した気温としては、年間平均気温が15℃以上で、冬に-3℃以下にならない地域となります。
病害虫の予防法
病気はあまりでません。害虫も袋がけをするとほとんど心配ないです。農薬を使う必要がほとんどないです。
育て方のまとめ
1年生苗では植え付け4~5年でなり始めます。
ビワの木自体は寒さに割合強く、常緑で緑の濃い葉の間から銀白色の新葉がのぞく姿は大変すがすがしく、庭木としてもおすすめ。蕾や花は寒さを嫌います。やや寒い地域では晩生種の「田中びわ」をおすすめします。
