
園芸店の植物管理のうんちく。
苗木部部長の高井尽です。
みかんやゆずなどの柑橘類は
今からの時期は次第に葉が黄葉して落葉が多くなります。
柑橘類の葉が黄色くなってのご心配のご質問を多くいただく日が増えてきました。
落葉樹ではない常緑樹と書くものですから、
時期によっては葉が黄色くなって落葉したりすると、
元気がないとご心配をおかけするように思います。
常緑樹ではなく、残葉樹って言いたい
冬に葉が残る木です。
以前のメルマガで紅葉のメカニズムについてご案内しました。
気温が下がってくることと、
日照時間が短くなってくると、
光合成の効率が悪くなってきます。
光合成するために必要だったクロロフィルを壊しながら、
植物は葉の栄養を枝に戻していきます。
葉内のクロロフィルが減っていくとカロテノイドの黄色に黄葉します。
これが柑橘類の葉が黄色くなるメカニズムです。
元気がないのではなく、自然現象です。
とはいえ、
乾燥する冬はハダニが出たりもしますので、
念の為に栽培環境やハダニっぽい症状がないか、
問診します。
お話ついでにハダニについて
ハダニは高温乾燥した環境を好み、水が苦手です。
ハダニが出やすい環境としては、
雨が当たらない場所や、風通しの悪い場所。
気温が温かい場所など。
ベランダや屋内栽培のリビングなどでハダニは出やすいです。
冬の暖房が効いたお部屋などはハダニの好む場所です。
ハダニは葉っぱの裏や表に発生します。
1mmないくらいの小さな害虫で、
肉眼や老眼では見つけにくく、
発生するとクモの糸のようなものが付着し始めたり、
葉っぱがざらつく感じになります。
また、触ると茶色っぽい粉のようなものがついたり、
粘ついたりします。
以下はちょっと見苦しいのですが、
ハダニが出るとこうなりますよ。という写真です。
心の準備はいいですか?
お見せしますよ。
葉がかすれたような葉はハダニの被害です。

ハダニ被害がひどくなると、葉っぱがかすれたようになり、
光合成で栄養をつくれなくなって、成長が悪くなります。
ハダニは放置していても枯れていくことは稀ですが、
光合成ができなくなるので、
成長が悪くなるのと、収穫できなくなったりします。
もっと大発生しているものでは。
こうなります。
心の準備をお願いします。

蜘蛛の糸のようなものがありますよね。
こうならないように、
早期発見を心がけてください。
早めに発見できれば、対処も楽になります。
それにはこまめな観察をお願いします。

また、ハダニが大発生しても、
お薬と、剪定で復活させることもできます。
上の写真は茎が粉っぽくて、葉が若干ざらついています。
発生が収まった病み上がりの様子です。
ハダニは水が苦手です。
高温乾燥が続く、雨が当たらない場所では葉水をお願いします。
ハダニは水が苦手なので、ハダニを放水で吹き飛ばすように行います。
霧吹きでシュッシュでは生易しすぎます。
一番いいのはホースの水で水洗いしたり、
シャワーの水で水洗いしたりします。
お風呂に持っていってシャワーしてもいいです。
葉の上、裏、枝を洗ってください。
ハダニの被害が少ないうちは
水洗いを繰り返すとある程度ハダニを駆除できます。
気温が15~25度くらいで空気がこもる場所では
葉水をするとうどんこ病が出やすくなりますが、
冬はうどんこ病はほぼ出ません。
出たとしても広がりません。
雨が当たらない場所では葉水しましょう。
葉水でかなり予防ができますが、
それでもハダニが出ちまったら。。。
ダニは繁殖力が強いので、10日程度で成虫になります。
産卵だけでなく分身しますので、完治させるまでは根気がいります。
成虫になると薬剤への抵抗も強くなるので同じ薬の連続使用は避けます。
ハダニが大発生してしまったら、
ダニ太郎とバロックフロアブルなどの殺ダニ剤を2種類以上用意していただき、1週間おきに異なる薬剤を交互に散布してください。
でも、そうならないために、
葉水をしましょう。
お見苦しいお写真を何枚も掲載しましたが、
早めの発見で、被害を最小限に!
それにはこまめな観察を!
新型コロナが流行してから、
ペットやグリーンを育て始めている方が増えているそうです。
癒やしの植物を育て始めたのに、病害虫や、失敗したりで、
せっかくの癒やしがストレスになってしまうといけません。
こまめに観察してあげてください。
すると、小さな良い変化や、
異変に気づくことも多くなります。
植物は生きていますので、
生き物ですから病気になることもあるでしょう。
人間様と、お互い様ですので、
おおらかに見てあげてください。
園芸って素晴らしいです。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました!
苗木部 部長 高井尽(たかいつくす)